ビザンツ歴史関連映画「コンスタンティン・フィロソフ」(1983年作)

  本記事のタイトルには、「歴史関連映画」と書いてしまいましたが、本作は正確には「聖人伝」を映画化したものです。ビザンツ時代に流行した「聖人伝」をそ のまま映画化するとこういうことになるのか、というような作品です。全6話からなるので、恐らくブルガリアのテレビシリーズだと 思います。各話約55分で、全部で約325分。しかし、私は最初これを、文人皇帝コンスタンティウス7世の話だと思っしまってい て、第二話まで見たところ、幼少の皇帝はミカエルだし、キリル文字の話ばかり出てくるし、第一話の題名が「テッサロニカの哲学 者」で、舞台はどうやらテッサロニキ。漸くキリルの話だと気づきました(「哲 学者」もキリル異名。本名はコンスタンティウス。父親の名前がレオで、冒頭で死去する場面が出てくるので、レオ6世だと思い込ん でしまったので した。間際らしい)。そこで第一話から見直したお陰で、本作には7時間程遣ってしまったのです。最後まで歴史映画だと信じてい て、「いつモラヴィア布教に いくのだろう」と思っていたら、どんどん出家人みたいになってきてしまい、「聖フィラレトス伝」みたいな展開。第六話の最後近く で、テッサロニカで浮浪者 さながらになっていたところを首都に呼び戻され、護衛兵に守られた長蛇の隊で出発したので、「いよいよモラヴィア行きか」と思っ ていたら、途中の山岳地帯 で荷物を全部降ろし、弟子一人を除いて全員帰してしまう。そしてなかなか巡りあえなかった兄メトディ(メトディオス)と突然出会 い、兄が、サウラ、アンギ アリ、クレメント(後2者は、キリルの仕事を継いで現在のキリル文字であるグラゴール文字を発明した人)の3名を紹介し、ともに 修道院生活に入るような雰 囲気で幕。ここまできて漸く、これが史実のキリルの話ではなく、聖者のキリルの話だとわかりました。ビザンツにかすっている映画 は結構あることがわかって きたものの、マケドニア朝という、ビザンツのど真ん中を突く作品か、と思って見始め、イサウリア朝でもいいや、と思って我慢して 見続け、音声が聞き取りに くいため(画質の悪いVHSビデオから起こしたようである)ヘッドホンで聞いたりと、かなりな手間隙をかけて視聴した結果が、ル イス・ブニュエルかホドロ フスキーみたいな作品を見せられ、悲しみのやり場が無いのでした。あらすじメモと画面ショットも取ったことだし、一応あらすじを 紹介したいと思います(以 下「More」をクリックしてください)。なお、本作はIMDbに情報があります
※本作を240分に編集した映画版があります(二部構成。1983年)。映画版の方の(ネットに上がっている版)の映像は、 dvdから起こしたのか、きれいです。IMDb掲載の作品は恐らく映画版だと思われます。原題「Константин Философ」

第一話 テッサロニキの奇跡

  テッサロニキで過ごした少年時代のキリル(コンスタンティン)の話。市場の場面から始まり、目の見えない浮浪者風のおじさんの住 みか(洞窟)を訪れる幼年 キリル。仲がよさそうである。家に戻ると、父が病床についていて、まもなく亡くなる。実家は兵士の門番がいるなど、富裕な家であ ることがわかる。

  修道院付属の学校では、スラブ語の授業で「ж」(ジュ)にあたる文字はギリシア語でなんて書くの?(ギリシア語には無い文字)な ど、質問攻めで先生を困ら せ、授業を中断させてしまう、迷惑な生徒。家には、史実では12歳しか違わない筈の兄メトディは、20代の青年(見ようによっては 30代にも見える)。キリ ルは、乗馬をしたり、鷹狩を見に行ったり、色々興味の対象が広い。皇帝テオフィノに招かれてコンスタンティノープルにあがる。

  都でミカエル三世の戴冠式が行われ、それに出席するが、その時には既に都に来てから6年経過しており、青年役となっている(下記 が戴冠式)。戴冠式で同僚 の研究者、アレクサンドリアから来たアンゲラーリに、並ぶ面々の情報を教えられる(誰々は皇位を狙っているとか)。他にもカルト ヴェーリ(グルジア)から 来た研究者など国際色豊かである。

  ある日庭園でブルガリア王ボリスの娘テオドラに話しかけられ仲が良くなる。コンスタンティンは、都に来ての6年間で文法、哲学、 数学、ラテン、ペルシア、 ギリシア、ヘブライ、ハイデイスキ、イバルスキ、ハザールなど各種言語、音楽などを収めており、既にコンスタンティン・フィロソ フと呼ばれていた。ブルガ リア語の通訳ができるということで捕虜の通訳をしたりしている。

第二話 Душата На Езика 言葉の精神

  数年間スラヴ語写本を作ることになるコンスタンティンだが、現状の水準に満足しておらず、研究者仲間にけちをつけている。宮廷で はブルガリア人の謁見に通 訳として借り出される。その謁見では、自動的に皇帝の椅子が空中に浮かぶ装置が映像化されていた(史料に登場している)。左右の ライオンも立ちあがってい る(どう見ても気ぐるみだが)。

  確かいつの間にか結婚していたコンスタンティンだが、そのうちイレーネという宮廷のプレーガールと仲良くなる。浮気じゃないの か。しかしこの女性はかなり 普通ではなく、地下室でコンスタンティンを篝火に近づけ背中をあぶり、消化といいつつ水をかけてキリルの服を脱がせ、一枚脱いだ ところでまた水をかけ脱が す。という怖い女性であった。最後は鞭を奮ってコンスタンティンを襲ってきたため必死で逃げるコンスタンティヌス。なんとか逃げ 切った後は、庭園でテオド ラと話すコンスタンティン。女には不自由しない色男という感じ。

第三話 Изборът 選択

 毎回冒頭で「前回までの話」をまとめてくれるので、実は筋の殆どはこの部分で把握しているのでした。
 さて、今回の主人公はスラブ文字を考案中。同僚のアンゲラーリは、グライダーを開発中である。

  周囲の誰も聞いていなくても、延々と熱心に原理と材料を説明するタイプ。研究室にイレーナがやってくるが、2人に邪険され泣き出 してしまうのだが、そのう ち機嫌を直してコンスタンティンに抱きついてきたりして、書棚の巻物が二人の上に落ちてきたりと騒動が起こっているにも関わら ず、延々とグライダーの実験 をわめくアンゲラーリ。コメディではない筈なのだが、どうも怪しげな展開である。しかし、ついに兄メトディを探す旅に出る。ここ で多いに期待したのだけれ ど、訪ねた修道院にメトディが滞在したことがあり、兄の業績書類が残っていることを知り、キリツはその修道院に居いてしまう。メ トディの書いたものを見て 涙を流すコンスタンティン。わかるわかる。が、そのまま見てたら、匂いまでかいでるよ。。。。。その修道院では、結構スラブ文字 に反感もっている修道士も おり、当初はメトディの滞在は隠されていたのだった。コンスタンティンは、ラテン、ギリシア、アルメニア文字でも聖書は書かれて いる、と主張するが反発を 受けてしまう。このあたりから時たま幻覚を見るようになる。この回は、兵士がやってきて、首都に帰還させられるところで終わる。  

第四話  при сарацините サラセン人

  今回から皇帝は青年が演じるようになっていて、皇帝に色々意見を述べる主人公。同僚のアンゲラーリの奇行はどんどん酷くなってい る。以前つきあっていたイ レーネは妊娠しているようで、旦那と歩いているところに出会う。さて、今回の主人公は、ゲオルギーという貴族(パトリキ)と一緒 にサラセン人のもとに使者 に立てられる。かなり長蛇のキャラバン隊で、本格的な使節という感じである。やっと史実に沿った流れになってきた感じ。砂漠の中 でサラセン人の使者と会 い、サラセンの都に到着する。カリフ(?)と家臣と会食していると踊り子たちがでてきて踊る。ソード・サンダル映画みたいな展 開。庭園やモスクを宰相 (?)に案内される。空中に庭園が持ち上がっていく場面などが出てくる。で、どういう展開か不明だが、「さよなら」といって、サ ラセン側の家臣が毒入り茶 を飲んで自殺する。宰相(と思わしき人)は、「皇帝への土産だ」みたいなことを言って、コンスタンティンにも薦めるが、彼が断る と、ゲオルギが飲む。彼は 死ななかったが、飲む前と後とでは、容貌が変わっていた。髪も髭も白くなってしまい別人のようである。ゲオルギが無事使節から戻 り、自宅に戻ると召使は後 ずさりするが、妻と子は受け入れてくれる。めでたしめでたし(よくわからん)。

第五話 в началото бе слово 初めに言葉ありき

 なんか、冒頭の、前回までのあらずじは、毎回のあらすじがそのまま追加されていくようで、段々長くなっているようである。コン スタンティンも、いつの間にか弟子(1名)を持つようになっている。以下は同僚の学者と議論する主人公。結構まともな展開になっ てきた。

  ブルガリア王女テオドラが、研究室を訪問してきた時、弟子に、考案中のスラブ文字で書いた文書を朗読させる。テオドラと侍女は、 音楽のようだ、と感動する が、コンスタンティンは満足しない。「まだ駄目だ」と、原稿を燃やしてしまう。 一方グライダーの研究者、アンゲラーリはほぼ狂 人みたいになてしまってい る。そしてついにアンゲラーリは塔の上にあがって両手を広げてるところまで行ってしまう。食堂でアンゲラーリを探すコンスタン ティヌスだが、夜、アンゲ ラーリは遂に飛び終りて死んでしまう。

 彼の墓の十字架には、愛用の翼がつけられた。葬儀にはコンスタンティンやテオドラも出席した(が、彼らくらいしかいない寂しい 葬式だった)。こういう研究者も実際にいたんだろうなぁ、ちょっと悲しくなる。

  一方皇帝臨席の宴会では乱痴気騒ぎが行われていた。テーブルの上に乗っかって騒ぐ程である。ところが、突然兵士が出てきて客の首 をはね始める。城内でも、 イリーナが3歳くらいの子供を連れて散歩していると、突然目の前で男の首がはねられる。宴会場では、皇帝の母テオドラから王冠が 取られ、ミハイルの親政が 始まる(一応史実だと855年、ミカエル15歳の時)。粛清場に変わった宴会場は、処刑が終わると、何事も無かったように食事が 直ぐ並べなおされる。
 この画面ショットは映画から持ってきたもの。テレビのvhs録画版と比べるとかなりきれい。恐らくdvdが発売されているのだ ろう。粛清を行う直前の皇帝ミカエル三世。

  コンスタンティンは、弟子とでかけるところで軍隊に出会う。友人のゲオルギ(一緒にサラセンに使節として旅した貴族)が捕らえら れていた。ゲオルギは、コ ンスタンティンを「知らない人だ」、という(しかし、その兵士も、コンスタンティンを「フィロソフィ」と呼んでいた)。そのまま 都を脱出するが、野宿中に 強盗に会い、本は置いてってくれ、と懇願するが、身包みはがれてしまう。最後は代わりに泥棒の服を着せられるのであった。
 馬は奪われなかったの で、なんとかテッサロニカに到着する。目の見えない男の洞窟を訪ねるが、彼はもういない。テッサロニカでも反ミカエル派が手配さ れており、市内は騒然とし ていた。再度洞窟にいくと、そこには老人がいて、どういうわけか老人と一緒に乞食のような生活を始めるのだった。

第六話 повикът на кръвта いわゆる血と呼ばれるもの

  郊外のあばら屋で老人と一緒に暮らしているキリル。老人と町(サロニカ)へでる。実家の前で馬を倒し、家の人に手伝ってもらって 馬を起こしてもらう。更に 馬を売る、という理由で馬を敷地に入れ、強引に自分も入ってゆく。家人は彼を、かつての主家の者だとわからない。馬代金を貰って 去るコンスタンティン。馬 がいなくなったので、自分で小便回収車を引くコンスタンティン(町の街路の隅に小便用の壷が置いてあり、それを荷馬車の樽に入れ て郊外の川まで運んで流す 業者である。小便用の壷は、普通の古代ローマ映画にも登場しているので、実際にあったのだろう。説明を忘れていたが、前回の最後 の方から、この商売で生計 を立てるようになったようである。下記が小便を集める樽と荷馬車)。

そ して郊外の墓地で、実家の者の墓碑を見かけ、墓碑銘を読むコンスタンティヌス。そして驚愕し、墓石を倒そうとまでする。周囲の女 性たちに殴られて阻止され る(墓石には銘文が二つあり、その碑銘はMNAIとMIHAIL(-850)となっていた。細かいところまでは読んでいない(と いうか、画面がテレビの録 画なので、画像が荒くて読めない)のだが、前者には KYRIOY という文字があった。ひょっとしてこれがキリルのことで、彼は死んだことにされていたのにショックを受けたのだろうか?よくわからない。私はここにいた! と叫ぶキリル。
 夜、家の前で老人と焚き火を囲んで会話していると、軍隊が通りかかる。男が降りてくる。弟子だった。弟子は老人に金を渡す。翌 朝 馬車で町に戻ったコンスタンティン。一方、老人は、貰った貨幣を一枚一枚川に投げて、半分程投げたところで、今度は市場へゆき、 残りの有り金全部で壷など 色々を買う。そして買ったものを町の一角に運ばせ、壊そうとする。それを見ていた町のものが、それらの品々を全て持ち去ってしま う。老人は身一つになって 去る。
 一方宮廷に戻ったコンンスタンティンは、宮廷でひとつの希望をいい、かなえてもらって護衛の兵士とともの旅に出るが、船で海を わたって、どこにいったのか、山中の小川のところで荷物全部下ろしてしまい、兵士を帰らせてしまう。

 弟子と荷物だけになった主人公は、荷物を弟子に燃やさせる。そして幻想を見る。古代ローマの劇場遺跡の階段に十字架が延々と並 び、3人の司教が来る。裁判のようだ。そして砂に溺れる寸前に助けられる。判決は救う方にでたのかもしれない。
  正気に戻った主人公は、どういうわけか、あれほど探しても会えなかった兄に唐突に出会い、お互いに抱きしめあう。そして、サ ヴァ、アングリアリ、クレメン トを紹介される。皆修道士の格好をしている。そして兄たちとともに、兄のいるところへと去ってゆくのであった(下記は映画版の画 面ショット)。


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  なんじゃこりゃ。ラストまで見切って漸く、これが「聖人」キリルの「聖人伝」なのだとわかりました。で、そういう目でたまたま第 五話で、考案中のスラブ文 字の写真を拡大してみてみたら、なんかカタカナみたいな文字が見えたので、その部分を見直して、拡大画面ショットをとってみまし た。すると、こんな文字 が。。。。。。


 うーむ。まあ、漢字は中国から輸入した裏紙とかに書いてあったのを参考に取り寄せたのかも知れない。しかし、カタカナとしか思 えない字は、どう説明するのだろうか。。。。。まあ、いいのか。本作は聖人伝であって、歴史ドラマでは無いのだから。

(余ったコンスタンティノープルの画面ショット)

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