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仮名ひろいテストは文章に意味のない無意味文と、文章に意味のある物語文を使って「あ、い、う、え、お」を抹消していくテストです。物語文では抹消と同時に物語の内容も同時に読み取る必要があります。
単独でも使用されていますが、実は「浜松式高次脳機能スケール」のサブテストの一つです。
さて、何を見ているテストかというと、無意味文では注意障害、注意の分散機能が、物語文ではいわゆる前頭葉機能ーdual
task(二重課題)をみることが出来ると言われています。
また、早期の認知症の診断ツールとして利用されています。
本テストの優れた点は年齢別に標準値が出されている点です。点数は正しく拾えた数(正解数)で、物語文では更に内容の理解度を評価します。
標的文字数が「5」というのは結構大変な数で、非常に軽度の注意障害でも検出しやすいと感じています。また、物語文では更に文意をつかむという作業が平行して行わなければなりませんから、基本的には正解数は無意味文と比べて減少します。
但し、このテストの解釈については、果たして「正解数」だけで判断して良いのかという疑問が残ります。
テスト後に分かるのはA;「正解数」、B;「見落とした数」、C;AとBを加えた「作業数」、D;「あ〜お」以外のものに○をつけた「ひろい誤りの数」の4つの結果です。仮名ひろいテストで標準値が出ている(得点とする)のはAの「正解数」だけです。
ということは、例えば正解数が40で見落とした数が0の人と、同じく正解数が40で、見落とした数が20の人が「同じ成績」と判断されるわけです。
物語文では文意が理解出来ているかも採点基準となりますが、理解出来ていれば10点、一部不正確5点、全く内容を把握していない0点で、この点数は浜松式高次脳機能スケールの総得点算出で利用します。仮名ひろいテストを単独で使用した場合、この評価点をどのように使うかも難しい面があると思います。
また、本テストを2度、3度と使っていくと当然物語の内容は記憶されるわけですから、「dual
task」とは言い難くなってくるのも事実です。
実際の評価場面では、「内容を理解するように」指示しているにもかかわらず、内容の理解は全く行わずに○だけをつける、あるいは○をつけずに内容を読む事のみ行う患者さんもいらっしゃいます。これはdual
task困難と言う事ですが、ここで出てきた点数には意味があるのかどうか、判断が難しい面があると思います。
working memoryの機能を評価するという視点から考えてみると、5つのターゲットというのは「マジックナンバー7±2」の観点からうなずける値です。しかし「あ、い、う、え、お」は一つの「チャンク」とも言えるわけで、いっそランダムな文字にすればいい様なものですが、子音を選ぶと「物語文」が長くなってしまうのは必至で、dual
taskを評価しようと思うとやむを得ない選択といえるでしょう。
さて、ここまで書いてくると「仮名ひろいテスト」って使えないと思われる方も出てくると思いますが、私は高次脳機能障害があると思われる方には積極的に使っています。
使い方としては、やはり注意障害の評価としてですが、初回と最終の2回で変化を見る為に使います(私の勤務先は急性期病院なので訓練期間は長くて2ヶ月です)。物語文もdual
task課題が出来ているかどうかを観察する程度に使います。
評価に関しては、まず正解数が標準値に達しているかをチェックすると共に「正解数ー見落とし数」の初回と二回目での変化を見ています。注意障害が改善されたケースでは「正解数」はかえって減少したのに「見落とした数」も減少する場合もあるので、そういった事も踏まえて患者さんの状態を考察すべきと考えます。
高次脳機能障害の評価は大変難しい面があり、特にそれを他の人に説明する場合、標準値があるというのはエビデンスのある訓練を行う為にも重要であると考えます。但し、どんな評価でもそうですが点数のみを云々するのは無意味とは言わないまでも、それを訓練につなげる事は出来ません。
仮名ひろいテストは見落としの数やパターン、テストごとの変化を観察して、患者さんの問題点がどんなところにあるのかを推察する一つのツールとなると思います。
何点上がれば「改善」と言えるのかの判断が難しいのは他のテストでも同じですが、まあやむを得ないと思います。
2010/10/31追記
「正解数」、と「正答数」という表記及び、「仮名ひろいテスト」と「仮名拾いテスト」という表記が混在していました。正しくは「正解数」と「仮名ひろいテスト」でした。訂正すると共にお詫び申し上げます。
文献;今村 陽子 著、『臨床高次脳機能評価マニュアル 2000』、新興医学出版社、2000
2010/10/31更新
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