十三仏 奥の院 (香椎)

 

右の絵地図は香椎宮休憩所横に立てられている「香椎宮歴史散策ご案内板」です。右上のほうに「十三仏奥の院」が記されています。これを見て、行ってみようと思われた方は多いのですが、ほとんどの人が行き着けていません。確かに、この絵地図では分かりづらいし、地元でもその場所を知らない人が多いのです。

今回は、「十三仏奥の院」を紹介します。ここはもともと密教の霊場だった場所なのです。革靴やハイヒールで行ける所ではありません。山の中の寂しい谷に、ひっそりと佇んでいます。道順も含め、由来など分かりやすいようにご案内しましょう。

 

下の地図(ヤフー地図使用)は、香椎宮近辺と十三仏の位置を示しています。

 

足腰に自信がある方は、香椎宮から古宮跡に出て、緑色の線に沿って徒歩で頑張って下さい。一箇所色の所が急な坂ですが、普通の速度で、30分ほどで「十三仏」に着きます。時間があれば、途中に「不老水」や「おいのやま公園」を組み入れても良いでしょう。紫色の線をバスが走っています。系統番号は27N(みどりが丘行き)、天神中央郵便局前、香椎参道、勅使道、香椎宮しょうぶ園前のバス停から乗れます。降車バス停は地図に示している「香椎台4丁目」です。ここからだと「十三仏」まで、歩いて10分少々です。バスの本数が少ないので、前もって時間を調べておく必要があります。写真は香椎台住宅団地の中です。バス右折の先を直進です。谷の方へ下って行きます。矢印から山道に入って行きます。 城ノ越山(190m)登山道の途中です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大人一人幅のゆるやかな山道を登って行きます。ばしょうの葉の先に「奥の院十三仏」が見えました。履物は運動靴が良いと思います。夏場は蚊が多いので気を付けましょう。男でも一人はちょっと怖いです。できるだけグループでお参りしましょう。

 

 

神仏習合時代は、香椎宮をお守りする寺院の一つでした。明治初年の神仏離合以降は荒れていたのですが、昭和七年四月、有志によって新しく十三仏が奉納されました。入口近くに「十三仏奉納者名台」の石碑が建っています。

十三仏について、触れておきましょう。十三仏とは?、一言で言うと「初七日」や「四十九日」など、供養を司る仏様です。

下の●供養日と担当仏様の表を見てください。昔のインドでは初七日から四十九日までに七回の法要を執り行い、死人を供養しました。これを中陰(ちゅういん)と言います。中陰とはこの世とあの世の境目で、この供養を境に生まれ変わるとされています。

 

初七日を担当するのが、不動明王様です。不動明王様は右手に剣を持っています。まず、死者の未練(現世への想い)をこの剣で断ち切り、次のステップ(二七日・十四日)に導くのだそうです。二七日(になのか)の担当は釈迦如来様。十三仏の中では一番偉いのだと、うっちゃんは理解しているのですが・・・、大事な所を担当していますね。道理を示し、現世への未練を断ち切った後の不安を除いてくれるのです。中陰では、このように七日毎に七七日(しちなのか)の四十九日まで各仏様が法要を担当し、務めてくれます。

中陰がインドから中国に伝わった時に、三回の法要(百か日、一周忌、三回忌)が追加となり、担当する仏様は十仏になりました。これを十王信仰(じゅうおうしんこう)と言います。─ヾ儔司郢А↓ 勢至菩薩(せいしぼさつ)、 阿弥陀如来が加わりました。観音菩薩様、阿弥陀如来様など、生まれ変わったあとのことを心配してくれ、正しい道へ導いてくれます。

鎌倉時代に中国から十王信仰が日本に渡ってきたそうです。室町時代には、更に三仏が加わり、日本独自の「十三仏信仰」が出来上がります。七回忌担当の阿○(アシュク)如来様(*シュクの字は門の中にハ、ハの中に人が横に二つ)、十三回忌担当の大日如来様、三十三回忌の虚空蔵(こくうぞう)菩薩様です。親族の霊を永く供養することは良いことなのでしょうが、三十三回忌とは凄いですね。法事を務めてきた家族が先に亡くなることもありえます。十三仏のしんがりを務める虚空蔵菩薩様も大変ですよ。まあ、健康に気をつけて長生きしなさい、ということでしょう。

 

 

          ● 供養日と担当する仏様         

インド

中陰

初七日

 ”堝位晴

亡者の未練を剣で断ち切り、心願成就へ導いてくれます

 

 

二七日(十四日)

◆ー甓倏〕

道理を示し、不安を除いてくれます

 

 

三七日(二十一日)

 文殊菩薩

命を生かす知恵を授けてくれます

 

 

四七日(二十八日)

ぁ”畍菩薩

救いの行の菩薩様です

 

 

五七日(三十五日)

ァ|和∧郢

全ての生き物、特に子供に救いの手を差しのべます

6

 

 

六七日(四十二日)

Α〔關嬖郢

心を落ち着かせ、正しい判断を助けてくれます

 

 

七七日(四十九日)

А〔師如来

左手の薬壺で身体の健康を守ってくれます

中国

 十王

百か日

─ヾ儔司郢

優しさを授け、慈悲の活動を助けてくれます

 

 

一周忌

 勢至菩薩

亡者を先導し、仏の智慧を授けてくれます

10

 

 

三回忌

 阿弥陀如来

安らかな世界(浄土)と暮らしに導いてくれます

11

日本

十三仏

七回忌

 阿○(アシュク)如来

迷いに打ち勝つ強い心を授けてくれます

12

 

 

十三回忌

 大日如来

天地宇宙の中心であり、一切の衆生を見守っています

13

 

 

三十三回忌

 虚空蔵菩薩

大空の心を授け、理想の姿を示す十三仏のしんがりです

 

 

 

 

   毘沙門天

十三仏の北の守り

 香椎の「奥の院」には十三仏の最後に「毘沙門天(びしゃもんてん)様」が控えておられます。日本各地の全ての「十三仏」に毘沙門天様が控えている訳ではありません。

香椎の十三仏様は全員が南北一列になって西の方角を向いておられます。うっちゃんの想像ですが、これは大陸を意識しているのではないか?筥崎宮本殿からつながる鳥居が大陸の方を向いているなど、元寇を経験した北九州独特の感覚がそうさせているのではないでしょうか。南北に道路を造ったり、家を建てた場合の方位易では北の守りが必要になります。北の守り神といえば、毘沙門天様です。京都の真北に建つ鞍馬寺、ここも毘沙門天様がお守りしています。そして、江戸時代に入り庶民文化が広がった時には、「宝船」に乗った「毘沙門天様」に家内安全、商売繁盛も合わせてお祈りしたのでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

香椎参道の香椎線踏切近くに「薬師堂」があります。身近に薬師如来様がおられるので、十三仏の中では七番目の四十九日を担当している薬師如来様に特に親しみを感じます。薬師如来様は亡くなった方の四十九日の供養もしっかり努められますが、どちらかと言うと現世の人々を救おうと努力されているお医者様なのです。だからいつも薬壺(やっこ)を持っています。うっちゃんは来世のことより、現世の病気や健康を見守ってくれる薬師様が好きです。特に香椎参道の薬師様は大好きです。

十三仏の成立には他にも説がありますが、何れにしても密教の影響を受けたことは確かでしょう。しんがりを努める十三番目の虚空蔵菩薩様が密教の仏様であること。それから香椎の奥の院には、「十三仏奉納者名台」碑の横に丸い石が置かれていて、「歓喜双身天尊」と彫られている仏様がいること。双身とは男天と女天を言いますが、この歓喜双身天尊も密教と深い関わりがあります。

奥の院十三仏のこの場所に立って、古代よりご先祖様の霊の供養が、このように多くの仏様によって執り行われ、現在の我々の代まで導いてくれたのかと思うと、宇宙規模のエネルギーを感じるのであります。ここもパワースポットなのでしょう。

 

 

 

 

 

 平成26年5月 うっちゃん

 

 

 

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