究極の体錬・Mallakhamb 今回のインド武術探訪で一番驚いたのがこのMallakhamb。 ウルルン滞在記で放送されたKushtiの道場でもトレーニングとして取り入れられているように、 本来は武術全般の基礎トレーニングとして発達したものだが、本場タミルのマラカンブは、もはやそんな次元を超越していた・・・ 今回私が見聞した範囲で解説すると、マラカンブは大きく4つに分けることができる。 1. 地面に敷いたマットの上で、前回り、後ろ回りから始まる基礎的な身体作りを行う。段階的に開脚やブリッジ、 さらには両足首を頭の後ろに回した状態で両手を使って前転後転するなど、難易度の高い技へと進んでいく。 その様子は、ハタ・ヨーガとジムナスティクスを足して中国雑技で割った?ような印象を受ける。とにかく、ごく普通の地元の小学生達の身体の柔らかさが半端じゃない。 2. マルカムと呼ばれる独特の形をした長さ4m弱の木でできた柱を、 動かないように数十センチの深さに埋めて立てる。その屹立する柱に、地面すれすれから取り付いて、一度も地面に下りることなく、蛇のように あるいはタコのように身体をくねらせ、絡みつかせながら柱を登っていき、最上部でこれも難しいヨガを含めた、様々なポーズをとる。あるいは、 足だけで柱の横に立つ。しかも最初に柱に取り付く時は、助走をつけて柱に向かってスライディングするように飛び、空中で身体をひねって下向き になりながら両足で柱をはさみ、そのはさむ力と背筋力で上体を地面と水平に保ち、決めのポーズをとって静止する。これはもう実際に見てもらう しか方法はないのだけれど、とにかく私は、初めて見たときは目が点になってしまった。 3. マルカムよりやや小さい柱を木の枝などからロープでぶら下げて、その揺れる柱の上で、2と同じエクササイズを行う。一般にはHanging Mallakhambと呼ばれる。 4. 地上10mほどの高さから太さ3cmほどの綿のロープをつるし、そのロープを手と足指の股で登るところから 始まり、やがてはロープ上で様々な難しいポーズをとる段階までステップアップしていく。一般にRope Mallakhambと呼ばれる。 1と4は主に幼い女の子が主役で、2と3は裸で行う事から、男の子が主役となる。 広義ではこれら4つをすべて含めてMallakhambと呼び、狭義では3を含めた2をMallakhambと呼ぶ。 マラカンブが最初に歴史に現われるのは、1135年の古文書。そこではManosolhasの名前で武術の基礎エクササイズとして記載された。 一説によるとタミルにその起源があるらしいが確認はできていない。 その後、1800年代の半ばに有名なクシュティ・レスラーのBalambhattadada
Deodharによって装いを新たに紹介され、それが近代マラカンブの 夜明けとなった。初期にはレスリングの基礎トレーニングとして普及したが、やがてその素晴らしさが認められて、純粋に一スポーツ競技として確立、 1958年にはデリーで開かれた全インド体操競技会にエントリーするなど、普及発展が進み、現在ではMaharashtraのMumbaiを中心に今回紹介したタミルナードゥのヴィルプーラムなど全インドで広く普及している。 |
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