第4回
サイ=コーデルフィア、出陣

 結局フィーブル王は、自分でした宣言を遂行する事が出来なかった。起こされたのは遂さっき、慌ただしい緊急事態の呼び出しによってだった。

(最後まで戦いを見届けるって言ったのに、そんな事すらできなかった。)

 その事実にまた泣きそうだったが、それは出来ない。今いるのは式典場だ。国民が見ている。
 そう、フィーブル藩国も出撃を決定しのだ。
 2重作戦…アンノウンの強大な力の前に、にゃんにゃん共和国はなす術も無く押し潰され様としている。
 故に藩国唯一の流星号を投入する事となった。不足していた義勇猫は劉輝国王が派遣してくれていた。
 何もかも準備万端だった…自分は寝ていたのに。
 悔しかった。自分の無力を恥じた。だが、そういうのは後だ。後悔するのも摂政に八つ当たりするのも。

「例え大海の直中で溺れていようとも絶望しては駄目です。夜が来れば朝が来るように、涙の後には笑顔が来ます。足掻く事を辞めてしまっては、もう前に進む事は絶対に出来ません。そこで終わりです。
だから、もう一度いいます。諦めないで下さい………
騎士サイ=コーデルフィアよ、今このスフィア=ラスタリア=フィーブルが国を代表し、貴方に民の希望と未来と誇りの全てを託します。
どうかシオネ・アラダの加護があらん事を…」

 そこでまたちょっと泣きそうになるフィーブル王。頑張ってこらえ…きれなかった。

「そ…そうそれとです!山の神様と海の神様と雪の神様と狩の神様とオーロラの女神の加護もです!絶対死ぬのだけは許しません!いいですか?帰ってくるんですよ?それからハンカチとティッシュも持ってくださいね!それから…それと…」

半泣き、早口で捲し立てていく。

「あ、あの王…王?」

 流石にちょっと困った顔の摂政。

「え?あ、はい、その、す、すみません。」
「…………」
「…………」

 そして、フィーブル王セリフを忘れた。

「では…その明日を…バーンと!掴んで来てください!」

「任せてもらいましょう。」

 脇に控えていた劉輝国の猫士は、猫特有のちょっと馬鹿にした、でも今は慈愛に満ちた笑みを浮かべると、仮想飛行士が口を開く前にそう言った。

「…我が命、猫に預けます。」

 礼をして颯爽と歩いていく猫士と、後に続くサイ=コーデルフィア。
 何か変なノリでフィーブル藩国の最強にして唯一の盾は夜明けを守る為、出撃して行った。

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