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QFD(品質機能展開)

製造者と顧客では、製品の見方が違うものです。 例えば、顧客にとっての、「かっこ良くて、握りやすいハンドル」について、 製造者は、ハンドルの形、表面の粗さ、やわらかさ、色、柄、等々で考える必要があります。 ハンドルの形は、「かっこ良さ」と「握りやすさ」の両方に関係しますが、 色は、「かっこ良さ」にしか関係しません。 製造者と顧客の考えている項目は、必ずしも一対一では対応しません。

このような関係は、文章ではわかりにくいです。 そこで、この関係を、 星取表 で表現するのが、品質表です。 2つの見方を要素に分解して、2つの見方を行と列の項目にします。 そうすると、行と列の交点が項目同士の関係を表しますので、その交点に点数を付けます。

品質表は、QFDの代表的なものです。 品質表を使うと、製造者と顧客の考えの関係をチェックして、ミスマッチを減らせます。

QFDは、品質保証や製品企画の方法論のひとつです。 別の見方をすれば、顧客満足や、マーケットインを実現するための方法論のひとつです。

業務機能展開

Image of QFD

QFDの基本となるのが、上記のような製造者と顧客の言葉についての星取表です。

ここでの製造者の言葉は、製品の特性値等です。 実際に製造するには、これらの特性値と、それを実現するための工程や、製造条件、等の関係を決める必要があります。 さらに、その工程と、関係部署や関係者との関係を決める必要があります。

ここでも2つのものの関係が出て来ますので、星取表が役に立ちます。 こうした星取表の使い方も、QFDの一環として提案されていて、「業務機能展開」と言います。

QFDの応用

品質表ができると、例えば、顧客の声について、自社や他社の既存品のレベルを見積もることによって、 自社の次期製品のレベルを決めることができます。 これは企画品質と言います。

その他にも、表は様々な事柄の現状を表していますので、 現状の問題点がわかったりもしますし、現状の記録にもなります。

QFDは、当初は品質管理の一手法ですが、 星取表によって、会社の中のあらゆる事柄の関係を、見える化する手法に発展して来ています。

QFDの歴史的背景

QFDは、赤間洋二氏と水野滋氏によって、1960年代に始まっているようです。 しかし、工場から出荷する製品に対して即効的な効果がないことや、 プロダクトアウトではなくマーケットインの考え方をして、 時代を先取りした考え方をしていたため、普及が遅れたようです。

QFD・TRIZ・タグチメソッドのコラボ

SPC は、戦後に始まっています。 QFD・ TRIZパラメータ設計(タグチメソッド) も、すでに数十年の歴史を持っていますが、啓蒙が進んだのは、SPCよりも後です。 そのためだと思いますが、 QFD・TRIZ・タグチメソッドの3点セットを、「新しい理論(革新的・先進的)」として啓蒙する動きは、2013年現在もあります。

3点セットは、独立して紹介されるのではなく、流れがあります。多くの場合は、
QFD : 顧客の声と、製品の関係について、現状を整理するためのツール
TRIZ : QFDの結果を元に、製品の新たな可能性を探すためのツール
タグチメソッド : TRIZの結果の現実性を評価するためのツール
、というように、つながりがあります。 (この3点セットが、実際の製品開発に対して過不足があるかどうかまでは、言われていないようです。)



参考文献

QFD

商品開発のための品質機能展開」 赤尾洋二 編著 日本規格協会 2010
副題が「知識変換のSECIモデルとQFD」です。 知識を「暗黙知」と「形式知」に分ける「SECIモデル」で、QFDのプロセスを説明しています。
ユーザーのもやもやした暗黙知を、シーンの想定によってまとめると、形式知になります。 これを企画品質といいます。 企画品質は、ユーザーの言葉で表現されます。
企画品質に対しての技術的な答えが、設計品質です。 企画品質と設計品質は、品質表で関係を表現します。 この段階では、 価値工学 の機能展開(機能を名詞と動詞で表現する)を使うと良いそうです。
海外のQFDは、ここで終わることが多いそうですが、 この本では、設計品質と業務の関係を関係付けることにも進んでいます。


QFD :企画段階から質保証を実現する具体的方法」 大藤正 著 日本規格協会 2010
この本によれば、世の中では品質表の作り方の解説が多いそうですが、 この本は、QFDの考え方をコンパクトにまとめています。
また、他の様々な分野の手法との融合についても、解説しています。
新QC7つ道具 を使って二元表を作る。
実験計画法 で、因子の抽出やまとめにQFDを使う。
TRIZ品質工学 をQFDでわかった問題の解決に使う。
主成分分析因子分析 でポジショニング分析
・QFDで品質保証


第3世代のQFD  : 開発プロセスマネジメントの品質機能展開」 永井一志 大藤正 編著 日科技連出版社 2008
品質表を作るQFDを第2世代とし、第3世代のQFDとして、QFDを7つの形にまとめています。 これを「e7-QFD(evolution7-QFD)」としています。
1.「Quality Assurance-QFD」 : 品質保証のためのQFD
2.「Job Function-QFD」 : 業務機能展開。業務の関係性の二元表を作ります。 例えば、人と業務の関係や、技術と業務の関係、等
3.「Taguchi method and TRIZ-QFD」 : QFDで抽出された現状の問題を、 品質工学(タグチメソッド) や、 TRIZ で解決します。
4.「Statistical QFD」 : QFDで抽出された仮説の検証に、 因子分析 や、 実験計画法 を使います。
5.「Blue-Ocean Strategy-QFD」 : 新製品開発戦略のためのQFDで、商品企画7つ道具と組み合わせます。 また、シーンとニーズの二元表による分析をします。
6.「Real-time Database-QFD」 : リアルタイムデータベース。 会社で管理する資料と主管部署の二元表を作り、それに沿って社内のデータベースを作ります。
7.「Sustainable-QFD」 : 持続可能な経営のためのQFDです。 目的に合った二元表をリストアップし、それらの関係を図示します。
筆者なりにまとめると、1.はQFDで一番古く、もっとも有名な使い方です。 2.は、日本では昔から認知されているものの、海外ではあまり普及していないと言われているようです。 6.と7.は、2.の延長にあります。 3.、4.、5.は、QFDとの組み合わせによって、相乗効果が期待できる方法です。


QFD・TRIZ・タグチメソッド

QFD・TRIZ・タグチメソッドによる開発・設計の効率化」 今野勤 他 著 日科技連 2005
開発の方向性を決めるところから、設計の妥当性を評価するところまでの手順をまとめています。 QFD、 TRIZ品質工学 を使います。 品質工学の パラメータ設計 だけでなく、 損失関数 や、 許容差設計 等も随所に出て来ています。




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